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プロダクト
ヒト膵癌オルガノイド移植マウスとは、臨床におけるヒト膵癌組織と組織構築が極めて類似。 ハイスループットに対応し、短期間に新規薬剤の薬効評価を実施できるマウスモデルです。
膵癌により年間4万人が死亡しており、膵癌の5年生存率は9%と極めて低い数値です。この低い5年生存率を改善するため、臨床の現場では、現状の使用できる薬剤よりも抗腫瘍効果の強い新規薬剤の開発が必要とされています。
新規創薬において、癌モデルマウスを利用した薬効評価を精度高く行う必要があります。しかし、膵癌については、ヒト膵癌組織に類似した組織構築をなす腫瘍を形成することができるマウスモデルは限定的であり、ハイスループットにて薬剤の有効性評価に用いることのできる有用なモデルマウスは存在していませんでした。
今回、ヒト膵癌細胞株を3次元的に培養するオルガノイド培養技術を用いて、ヒト膵癌オルガノイドをマウス皮下に移植する「ヒト膵癌オルガノイド移植マウス」の樹立に成功しました。本モデルマウスに形成される膵癌腫瘍は、臨床におけるヒト膵癌と組織構築が極めて類似しており、ハイスループットに対応して新規薬剤の薬効評価を実施できる画期的なマウスモデルです。
短期間に確実な実験結果を提供できる「ヒト膵癌オルガノイド移植マウス」は、アカデミアと企業の研究者のニーズに応えます。
ヒト膵癌オルガノイドの詳細な作成条件の検討を行い、インキュベーター内で一晩通常培養することでヒト膵癌 オルガノイドの作成技術を確立した結果、脇腹皮下へ移植したヌードマウスにおける膵癌細胞増殖スピード(=腫瘍体積の増加)の個体間での均一化に成功しました。
本モデルのヒト膵癌組織は、臨床的な膵癌と類似した腺癌の組織像を示し、膵癌の特徴である癌間質が豊富に存在します。また、マウス血清を用いた腫瘍マー カーであるCA19-9 濃度の経時的測定が可能であり、薬効評価を充実させることができます。
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ヒト膵癌細胞株を用いたオルガノイド培養技術。この画期的な技術を用いて培養した「ヒト膵癌オルガノイド」をマウス皮下に移植すると、細胞培養を開始した日から6週目に「ヒト膵癌オルガノイド移植マウス」を供給できる。細胞培養からマウス供給までの早さも、本マウスモデルの特徴である。
本マウスモデルの膵癌組織は、臨床的なヒト膵癌組織と類似した腺癌の組織像を示し、膵癌の特徴である癌間質が豊富に存在する。また、マウス血清を用いた腫瘍マー カーであるCA19-9濃度の経時的測定が可能であり、薬効評価を充実させることができる。
ヒト膵癌オルガノイド移植マウスを3群 (各群 n=8) に分け、マウスの脇腹皮下へヒト膵癌オルガノ イドを移植してから腫瘍がある程度大きくなる2週目から投薬を開始した。投薬を行わないコントロール群、遠隔転移を有する膵癌に対する標準一次化学療法として推奨されているゲムシタビン・ナブパクリタキセル併用療法(GnP療法)を行った群、過去の治験においてゲムシタビン単剤と比較して有意な生存期間の改善を認めなかったゲムシタビンとS-1の併用療法(GS療法)を行った群にて薬効を比較した。
GnP投与群では、ゲムシタビン (50mg/kg)+パクリタキセル (5mg/kg)を1回/週、3週連続腹腔内投与し、1週休薬にて8週間繰り返して投薬を行った。GS投与群では、ゲムシタビン (50mg/kg)を1回/週、3週連続腹腔内投与し1週休薬+S-1(10mg/kg)を4週間経口投与し2週休薬にて8週間繰り返して投薬を行った。GnP投与群はGS投与群に比較して有意に膵癌腫瘍の増大を抑制した。GS投与群はコントロール群に対しては有意に膵癌腫瘍増大を抑制した。
膵癌診療ガイドラインにて遠隔転移を有する膵癌に対する標準一次化学療法として推奨 されているGnP療法の優位性を示す結果であった(論文投稿準備中)。
1. Tanaka C, Furihata K, Naganuma S, Ogasawara M, Yoshioka R, Taniguchi H, Furihata M, Taniuchi K. Establishment of a mouse model of pancreatic cancer using human pancreatic cancer cell line S2-013-derived organoid. Hum Cell 35:735-744, 2022. doi: 10.1007/s13577-022-00684-7.
Establishment of a mouse model of pancreatic cancer using human pancreatic cancer cell line S2-013-derived organoid - PubMed (nih.gov)2. 執筆中...